こんにちは！しみ抜き洗濯芸人うにぞうでっす。
今回はセーターのしみ抜きのお話を中心に、それにまつわるお話を、簡単に解説していきたいと思います。
さて、みなさん、セーターとニットの違いって分かりますでしょうか？
ニットはいわゆる編み物の生地の総称で、セーターはニットで作ったトップスということですね。
ウールやカシミヤなどが代表的な素材ですが、色映えがするアクリルが原料になっているものも多く、マフラーなどはアクリルの混紡製品が多く出回っています。肌触りは良いのですが、やはりウールやカシミヤの方が暖かいですね。
ニット製品のしみ抜きが難しい訳
ご存じの通り、ニット製品は糸がふわふわしていて、柔らかいので、糸の強度としては弱いです。タンパク質系のしみ(たまごや血液など)を付けてしまうと、糸ごと固く変性してしまうので、しみ抜き時に糸が切れてしまうことがあります。接着剤が付いた場合も同じです。
また、ウール系の素材はアルカリに弱い性質を持つので、酸化漂白などで糸が溶けてしまったりします。
逆にアクリル系の素材は耐薬品性が低く、薬品で溶けてしまうこともあります。
色も抜けやすいですね。
適切な薬品やしみ抜き剤を使用できるかが重要になってきますし、色修正の技術も持ち合わせていないとなりません。
縮んでしまっても、諦めずに相談！
また、家庭の洗濯機でセーターを洗い、縮ませてしまったという相談もよくあります。
最近は水洗い可のものもありますが、ニットの特性は変わりませんので、失敗してしまうこともあるようです。
縮んでしまった場合は、技術のあるクリーニング店なら、10㎝程度なら戻してもらえる場合もありますので、諦めずに相談しましょう。
但し、フェルト化してしまって、20㎝以上の縮みになると、戻すことが難しくなりますので、家で洗う際は採寸などして、中性洗剤で短時間の手洗いをおすすめします。冬は暖房の効いた室内で汗ばむこともありますから、汗抜きのためにも、よく着用するものなら、洗う頻度は週一位のお手入れが必要だと思います。
縮むのが嫌で、洗う頻度を少なくする人がいますが、しみや虫食いの原因になるのでおすすめできません。汗じみも他の繊維より、ニット類の汗じみは難しくなるので、ニットこそマメにメンテナンスするべきだと思います。
全体にくすんできたり、脇や襟などが黄ばんできた場合は速やかにクリーニング店に持ち込みましょう。ポイントは黄ばみになる前にお手入れしておくこと。黄ばんでしまったら、しみ抜きになりますので、リスクやしみ抜き料金が必要になります。
縮む構造や毛玉についてなど、お話したいことはまだたくさんありますので、また別の機会に、テーマごとに書いていきたいと思います。
リスクを理解した上で依頼してください
状態が悪いものは、しみの所が虫に食われてしまっていたり、糸自体がしみと同化してしまっていて、穴や色落ちなどの可能性もあります。
これは技術的な失敗でなく、起こるべきして起こる症状ですので、依頼する際はそのことを踏まえた上で、利用して欲しいと思います。
よく、「失敗しない程度にやって欲しい」というお客様がいますが、僕らプロだって失敗したいと思ってやる技術者はいません。それが分かれば苦労しないのですが、見た目で判断できないことが多く、やってみないと分からない部分がたくさんあるのです。
だからこそ、経験豊富や信頼できる技術者がいるクリーニング店とお付き合いする必要があるのです。
セーター(ニット製品)のしみ抜きはプロに頼むべき
しみをつけて時間が経っていないものなら、家庭でもしみ抜き処理ができると思いますが、時間が経過してしまった古いしみは、絶対にプロに任せた方が良いです。
糸の状態を見極めながら、的確なしみ抜き剤や薬品を選んでしみ抜きすることが出来るプロに任せることで、成功率も高くなりますし、生地へのダメージも最小限で済ますことが出来ます。
ということで、きれいになりました！
このセーターも古いしみなので、処理を誤ってしまうと、穴が開いたりすると思います。
こちらはクリーニング代別で3000円程のしみ抜き料金になりました。
汗抜き加工・Wウォッシュなどを活用する
脇や襟などが黄ばまないような処理が、クリーニング屋さんには用意されているのを知っていますか？
うにぞうのお店では「汗抜き加工」、他のお店では「Wウォッシュ」などのコース名で呼ばれ、ドライクリーニングと水洗いの両方をしてくれたり、うにぞうのお店のように洗剤を使った水洗いとは違う方法で、汗を抜いて黄ばまないような処理をするコースです。
これはクリーニング料金＋上の加工料金がかかりますが、定期的にやることで、襟や脇が黄ばんでくるのを防ぐ効果があります。見た目には分からない、黄ばみの要素を取る加工です。黄ばんでしまった場合、しみ抜き扱いになりますので、ニットなどはある程度料金がかかってしまいますが、黄ばみ防止の意味で「汗抜き加工」をしてもらえれば、料金は安く済む場合が多いので、積極的に活用したいコースです。
お店では「汗を抜いてほしいんですけど？」とか言ってもらえれば、大概のお店は対応してくれると思います。
但し、水で加工してくれる所と、ドライクリーニングに水溶性の汚れを取る加工剤を入れて処理するところと2種類の方法があります。料金は高めですが、水でしっかりと汗の成分を取ってくれる方が汗抜きという意味では望ましいですね。仕上げもドライクリーニングで処理するより、手間もかかって大変な作業。ドライクリーニングでの汗抜きはお求めやすい価格が魅力ですが、どこまで改善するかは状態にもよりけりといった印象です。
技術のあるお店を利用することが結局安く処理できる
ちなみに、写真のセーターはクリーニング店でしみ抜き依頼して、しみ抜き出来ませんということで、返ってきてしまったセーターでした。
全体的にかなり汚れてしまっているので、しみ抜きした所が少し白っぽくなってしまっています。
前のクリーニング店でしみ抜きしなかったのも、少し頷けます。しかし、お客様からすればしみが取れなければ着ることが出来ないわけですが、それでもクリーニング料金はかかってしまいます。結局その分のお金は無駄になってしまうことになります。
多少料金が高くても、結局、技術のあるクリーニング店でしみ抜きやメンテナンスした方がかえって安く済むという、クリーニングあるある(笑)
うにぞうはこの後、水洗いで全体的にきれいにして、バッチリきれいにすることができました！
ここまでしっかりやってもらっての料金ですから、かなりお得だと思います。
安売り店だと、こういったものがすべてオプション料金となり、個人店よりよっぽど高いということにもなりかねませんので、店選びは慎重にしたいですね。
まとめ クリーニング店で出来るニットメンテナンス
- ドライクリーニング(風合い重視)
- 水洗い(汚れ重視)
- しみ抜き(黄ばんでしまったもの、しみをつけてしまったもの)
- 色修正
- 汗抜き加工(黄ばみ防止)
- 縮み、伸び修正
- 虫穴補修
上の3つは皆さん知っていたと思いますが、４番以降については、「え？そんなこともできるの？」って、思った人もいるのではないですか？
技術のあるクリーニング店は、着るものに関すること、きれいにすることに関することについては、洗いやしみ抜き以外にもたくさん知識を持ち合わせていますので、何でも聞いてみることが大切だと思います。
そういった相談にいろんな提案をしてくれるお店はとても頼もしいお店といえるでしょう。
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